痛み止めは痛いときに飲む薬ではない!?
2018年12月25日
「痛み止めは痛いときに飲む薬ではない!?」
月に1回の薬のコラム。今回は、当院で処方する「痛み止め」の薬についてお話しをします。
1.「痛み止め」はいつ使う薬か
2.「痛み止め」の薬がなぜ効くか
3.飲んでいる最中に気を付けていただきたいこと
1.「痛み止め」はいつ使う薬か
みなさんは、風邪をひいて薬を飲むときには、どのように薬を飲みますか?
「咳がでるから咳止めの薬」
「熱があるから熱さましの薬」
「細菌が悪さをしているから抗生物質(抗生剤)を飲む」
それでは、「痛み止め」はどうでしょう?
風邪の時には、その時の頭痛を抑える、のどの痛みをおさえる、その時だけに飲んでも構いません。しかし、当院でお渡しをする「痛み止め」に関しては特別なこちらからの指示がないかぎりは、決められた飲み方で、お渡しした日数分をきちんと飲むようにしてください。
その理由について、少し専門的になりますが、次の章で開設をいたします。
2.「痛み止め」の薬がなぜ効くか
今回は、痛み止めとして処方することが多い「NSAIDs」という薬について解説をします。
たとえば捻挫をしたり、腱鞘炎になったり、打撲をしたり、私たちの身体(組織)が傷つくと、細胞膜からアラキドン酸という物質が出ます。アラキドン酸は、シクロオキシゲナーゼ(COX)などの働きを受けプロスタグランジンという物質となり、さらに様々な化学伝達物質がつくられて、傷ついた組織へ放出されます。このことで、血流が増加し、バイ菌などの異物をやっつける白血球が通りやすくなったりして、赤みやじゅくじゅく感といったいわゆる炎症反応が起きるのです。
NSAIDsは、シクロオキシゲナーゼの働きを邪魔することで、プロスタグランジンをつくるのを抑えるので炎症反応を抑えます。この炎症反応を抑えることが整形外科の治療では非常に大切になるので、「痛み止め」の薬は痛いときだけではなく、炎症を抑えるために毎日しっかりと使ってほしいのです。
プロスタグランジンは、胃を守る働きをする物質でもあるため、プロスタグランジンの合成を抑えるNSAIDsは胃に良くないと言われていますが、痛み止めのなかには胃に対してなるべく作用しないように工夫がされている薬もありますので、ご希望の方は診察の時にお気軽におっしゃってください。
3.飲んでいる最中に気をつけていただきたいこと
痛み止めの薬で、一般的に多い薬の副作用は胃の痛みなどの胃腸に関わる症状です。
続けて飲んでいったときに、万が一激しい痛みや吐き気がおきることがあれば、すぐにご連絡ください。胃が弱い方は、なるべく食事のすぐ後に飲む、多めの水で飲む、胃薬を一緒に飲む、といった方法で対処できることもあります。
また、炎症反応は、食べ物も関係します。詳しくは食事のコラムでも触れることがあると思いますが、魚やえごまなどの身体にとって良いとされる油をとると、プロスタグランジンがつくられるのを抑えてくれる働きが期待できます。
食事についてのご相談がある方も、お気軽にお申し付けください。