ハイドロリリース(エコーガイド下筋膜リリース)
最近の研究において、トリガーポイント(押すと痛みが広がる部位)は、Fascia=ファシアと呼ばれる、筋肉や筋膜、腱や靭帯、脂肪組織といったいろいろな結合組織に存在することがわかってきました。
筋膜は筋肉を包み込んでいる膜のことで、その膜は複数の層で構成されています。筋膜は、筋肉同士の摩擦を防ぐ、筋線維の動きを支えるなどの働きをしますが、日頃から姿勢が悪い、同じ動作を繰り返している(例:長時間のPC作業などのデスクワーク)ことによって筋膜に癒着や肥厚が起きるようになります。これにより筋肉そのもの動きが妨げられるようになり、肩こりやトリガーポイントがみられるようになります。
このような痛みを解消させるには、癒着してしまった筋膜の層を引きはがすなどして、再び動きを滑らかにする、つまり正常に戻す必要があります。運動療法(リハビリテーション)でも徒手により筋膜リリースを行うことがありますが、当院では超音波装置(エコー)を用いて、実際に筋膜を確認しながら注射を行っています。これをハイドロリリースと呼びます(ハイドロとは水のことで、生理食塩水などを注射して筋肉と筋膜の癒着を解消していきます)。
ハイドロリリース注射を行う際は、まず筋膜の層が癒着している部分を把握するために超音波検査を行います。この画像検査によって癒着あるいは肥厚している部位をしっかり確認してから、生理食塩水などを注入していきます。これによって癒着した筋膜が引き剥がれるようになります。定期的にこの注射を受けると持続的な効果を期待できると考えられています。
ハイドロリリースにより一時的に痛みが消失しても、生活習慣や身体の使い方が変わらなければ症状は繰り返し出現します。
運動療法を併用することにより、正しい姿勢を保持することで再発を予防できる可能性があります。当院ではハイドロリリースを行った後、症状に合わせて運動療法を行っています。